日本製もドイツ製もアメリカ製も、かつては私にとって外国製であった。だからドイツ製がよくて、日本製はダメだといった先入観は私にはない。キモノでも茶の湯でも、日本人は自分たちの伝統的な文化と思っているが、キモノは唐代の中国大陸の衣服だし、茶の湯は宋代から明のはじめ頃までの中国大陸の嗜好風習である。それが日本に渡来してきて日本に定着しただけのことであるから、日本文化にはもともと国際性があるといってよい。カメラもロレックスのような腕時計も自動車も、もとはといえば、ドイツ、スイス、アメリカのものである。それが日本に渡来して日本でつくられ、また外国に輸出されるようになった。物がよければ、次第に消費者の人気を呼び、それがもともとは向うから渡来してきたものであることをつい忘れがちになる。しかし、要は歴史があるかどうかよりも、物がよいかどうかである。私は世界の一流品に興味を持ち、高価な物にも思い切ってお金を払う。しかし、それが何国製であるかにはこだわらない。