自動車教習所によっては、公安委員会が作成したカリキュラムに入る前に「カートレーナー」という模擬運転装置によって車に慣れさせようというところがあるが、早い話、ゲームセンターの「F1グランプリ」などのカーシミュレーションーゲームのようなものだから、「なんだ、ゲームじゃねぇか」と嘲笑する若者が多い。まあ、何事も本音で反応するのは、いいことには違いないのだが、一応、教習所ではこんなゲームのようなものでも、車の基本を勉強させるという配慮があるのだから、真面目に付き合ってくれなければ教習所としても格好がつかないということなのだ。このカートレーナーでやることは、本当に大したことはないのだが、何事も基本が大事だからというので、運転席に座るにも、座り方や運転シートの位置を調整したり、クラッチやブレーキ、アクセルとの距離関係、ルームミラーの位置といったことが重要だから、運転席に座るという行為一つをとっても決しておろそかにはできないという前提で、カリキュラムに取り入れられている。子どもだましのような機械ではあるが、本物の車と同じ感覚で乗ってくれないと、教官の印象度は悪くなるだろう。だから、「なあんだ、ゲームか」という感覚では、こいつらは一体、何のために教習所に来たのだろうかと真面目に思ってしまう。以上は教官としての建前だが、本音を言えば、せめてもう少し迫力のある機械でないと、ゲームに慣れた現代の若者には通用しないだろうと思う。