二時間後、僕らにもガードレール越えが待っているとは考えもしなかった。北京から石家荘までは二百九十九キロだった。道路の標識は京珠高速と書かれていた。よく見ると、その下には京深高速と書かれていて、その上にペンキを塗って書き直してあった。京は北京を示す。深は深川である。珠は珠海。つまりこの高速道路はしばらく前まで深馴までしかなかったが、珠海まで延長されたようだった。中国の高速道路網はどんどん広がっているのだ。
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午後一時頃だった。車掌のおばさんに、ここだ、と促された。「はッ?」てっきり石家荘のバスターミナルまで行くと思っていた僕らは一瞬、戸惑った。そこは高速道路の路上だったのである。僕らを含めて数人の客が降りると、バスは間もなく発車してしまった。呆然と見送る僕らの前を車がびゅんびゅん通りすぎる。ほかの乗客たちは、それがあたり前のようにガードレールをまたぎはじめた。見下ろすと足がすくむほどの急傾斜である。そこを降りる客のなかには、ヒールの高い靴を履いたスカート姿の女性もいた。連れの男性が荷物を担いで体を横にしてそろそろと降りていく。その後を女性がつづく。こういうのを本当にたくましい女性というのだろうか。